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岡山地方裁判所 昭和49年(む)80号 決定

申立人 被告人 坂本守信

主文

本件準抗告を棄却する。

理由

一  本件準抗告の申立の趣旨及びその理由は別紙準抗告申立書記載のとおりである。

二  よつて検討するに、右申立書によれば、申立人の表示として「三月一日の公判期日変更申請をおこなつた被告人」のみ記載し、その下に「坂本」と刻印された印が押捺されているほか指印と思われるものが二個押捺されているところ、一件記録によれば、当庁昭和四八年(わ)第二八三号不退去被告事件について三月一日に予定された公判期日の変更申請を行なつたのは、被告人坂本守信であることが認められ、この事実と右坂本名の印影とを併せ考慮すれば、本件準抗告の申立人が被告人坂本守信であると一応認めることはできるものの、刑事訴訟規則六〇条によれば刑事訴訟法四三一条によつて差し出すべき本件準抗告の申立書には申立人の署名押印を要するものであるところ、右「三月一日の公判期日変更申請を行なつた被告人」との記載はとうていこれを署名と認めることはできない。

ところで、訴訟上の権利は誠実にこれを行使すべきところ(同規則一条二項)、申立人は当裁判所がその署名につき補正をうながしてもこれに応ぜず、他に申立人においてその署名をなすことを得ない合理的な事情も認められないから、本件申立は法令上の方式に違反し不適法であるといわなければならない。

三  よつて刑事訴訟法四三二条、四二六条一項により本件申立を棄却することとし、主文のとおり決定する。

別紙(略)

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